消化器・一般外科の主な症例

当院消化器・一般外科の
主な症例

消化管

(胃)
胃癌に対しては、内視鏡的粘膜切除術(EMR,ESD)の対象とならない早期胃癌から進行胃癌に対し腹腔鏡手術を行っています。当院には日本内視鏡外科学会技術認定医が在籍し、安全に手術を行うことを心がけています。高度に進行した患者様には、術前に抗癌剤治療をお勧めし、腫瘍を縮小させてから切除を行う場合もあります。治療不能な高度進行胃癌に対してはQuality of life(生活の質)の向上を目指し、消化管バイパス手術や経皮経食道胃管による減圧術を行うこともあります。

(大腸)
結腸癌・直腸癌に対しても腹腔鏡手術を取り入れています。肛門に近い下部直腸癌の場合でも、内肛門括約筋切除術(ISR)を行い、可能な限り永久人工肛門状態を回避し、自然肛門を温存するための手術を行っています。腸閉塞症状にて発見された大腸がん患者様に対しても、経肛門的に減圧チューブを挿入し、減圧後に腸切除を行うことで人工肛門の回避が可能です。抗癌剤治療は遺伝子検索を行った上で、分子標的薬などを含む最新の治療を、外来化学療法を中心に行っています。また、治癒切除が不能な場合でも、Quality of life(生活の質)の向上を目指し、バイパス手術や人工肛門造設術などを施行します。

肝胆膵

(肝臓)
肝臓の腫瘍、おもに、肝細胞癌、肝内胆管癌、転移性肝癌に対して、手術を中心とした集学的治療(様々な治療を組み合わせて病気を治療すること)を行なっています。

肝細胞癌の原因は、以前はB型肝炎やC型肝炎が多かったのですが、最近では、脂肪肝や、多量飲酒からの発癌が増えています。肝細胞癌は、非常に再発率が高いため、くり返して治療を行うことが多くなりますが、手術が可能であれば、手術の成績が最も良好です。肝細胞癌の治療は、癌を治すことと肝機能維持のバランスをとることが非常に大切です。当院では、肝切除、ラジオ波やマイクロ波での焼灼、血管カテーテルでの治療(肝動脈化学塞栓療法)、薬物療法(抗癌薬)などを用いた集学的治療が可能です。

転移性肝癌は、他臓器にできた癌が肝臓に流れ着いて根を生やした状態です。どの癌でも肝臓に転移を起こす可能性はありますが、手術を行う転移性肝癌の原因は大腸癌が最も多く、手術の成績が最も良好です。また、転移性肝癌は複数個できることがありますが、抗癌薬を使用することで、手術が可能となる場合もあります。

肝胆膵(肝臓)

(膵臓)
膵臓は胃の裏側にある臓器です。膵臓は、食べたものを消化するための膵液や、血糖値をコントロールするためのインスリンの分泌などを行っています。手術対象となる主な膵疾患としては、膵癌、膵嚢胞性腫瘍、膵内分泌腫瘍、慢性膵炎(膵石症)などがあります。

膵癌は非常に悪性度が高く、治療成績が悪いとされています。膵癌は早期には自覚症状がほとんどないため発見が困難で、ある程度進行してから腹痛や背部痛、体重減少、黄疸などで気付くことがほとんどです。また血糖値のコントロールが急に悪くなった時にも膵癌が発症している可能性があります。治療は、膵癌の進行度や患者様の健康状態によって異なりますが、手術が最も効果的な治療法です。手術で取り切れないと判断した場合には、手術ではなく一旦抗癌薬で治療し、その後に手術する場合もあります。当院では、血管に接している進行癌でも、血管合併切除を積極的に行っています。

肝胆膵(膵臓)

(胆道)
胆道は、肝臓の中の細い胆管から、膵臓の中の太い胆管を通って、十二指腸の出口までつながっています。その途中で、胆嚢が枝分かれしています。胆道の中には、食べ物の消化を助ける胆汁が流れています。肝内胆管癌(胆管細胞癌)、肝門部領域胆管癌、遠位胆管癌、胆嚢癌、肝内結石症などに対して手術を行なっています。

胆道癌は、我が国で増加傾向にあります。手術は、癌の部位によって、肝臓の切除が必要であったり、膵臓の切除が必要であったり、またその両方が必要な場合もあります。他の癌と同様に、手術で取りきれない場合は、抗癌薬で治療を行ないますが、やはり手術の成績が最も良好です。血管合併切除による進行癌の手術や、術前に門脈(肝臓を栄養する血管)塞栓を行い、術後の合併症(肝機能不全)を予防する方法も行っています。

肝胆膵(胆道)

胆石

胆石症とは
胆石は肝臓で作られる胆汁中の成分が結晶化して生成されます。胆石症とは、胆石が原因となって引き起こされる腹痛(胆石発作)、胆のう炎、胆管炎などの病気の総称です。
胆石の存在する部位により、胆のう結石、総胆管結石、肝内胆管結石と呼ばれます。

胆石症とは

胆石症の症状
無症状で経過することも多いですが、胆石発作では心窩部を中心とした激しい痛みがみられます。
胆のう炎では、胆のう内の胆汁が細菌感染を起こすため腹痛や発熱がみられます。
胆管炎では、総胆管結石によって胆汁のうっ滞と細菌感染を起こすため、腹痛や発熱、黄疸がみられます。また、膵炎を併発することがあります。

胆石症の原因
胆石の種類にはコレステロール結石、ビリルビンカルシウム結石、黒色石などの種類があります。胆石の種類により原因が異なりますが、多くは体質や食生活(高脂肪)が主な原因とされています。

胆石症の治療
胆のう結石、胆のう炎に対しては手術が第一選択の治療法となります。
術式は大きく2種類あり、開腹手術と腹腔鏡下手術があります。

腹腔鏡下手術
腹部に2~4箇所の小さな孔を開けて腹腔鏡でおなかの中をモニターで見ながら手術をします。

開腹手術開腹手術

腹腔鏡下手術腹腔鏡下手術

当院では、腹腔鏡下手術を第一選択として、患者様の基礎疾患・手術歴などを考慮の上、術式を選択しています。

手術以外の治療法では、経口溶解療法や体外衝撃波結石破砕療法(ESWL)がありますが、有効性が低く再発率も高いため、お薦めしません。